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宮崎あおい『パコダテ人』主演女優にインタビュー


みやざきあおい/85年東京都生まれ。4歳からモデル活動を始め、その後女優の道へ。『EUREKA(ユリイカ)』(00)『害虫』(02)『富江 最終章(02)』など話題作に次々と起用され、その天性の演技力が国内外で絶賛されている。



北海道・函館を舞台に、ある日突然シッポ(!)が生えてしまった女子高生の周囲で巻き起こる大騒動を描いたファンタジー『パコダテ人』。“函館人”に小さなマルをつけて“パコダテ人”という、なんともファンシーな響きのタイトル通り、全編ほのぼのムード満載の本作が待望のビデオ&DVD化。主人公の女子高生・日野ひかるに扮したのは、『害虫』でナント三大映画祭主演女優賞を受賞するなど、若干16歳にして卓抜した演技力が高く評価されている宮崎あおい。従来のシリアス演技から一転、シッポが生えるという非常事態に陥りながらも初恋に揺らめく少女の姿を、天真爛漫な笑顔でキュートに演じた彼女が本作についてたっぷり語ってくれました。
(取材・文/安斎朝美)
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Q:今回演じられた役は突然“シッポ”が生えてくるという、かなり突飛な設定ですね。脚本を読んだ時はどう思いましたか?

 最初はあまり考えないんです。役作りもしないし、現場に入ってから監督さんに言われたように演じるタイプなので、台本を読んだ時は純粋にこういう役でこんな設定なんだなと思いました。それよりも今回は初の明るい役だったので、まずそのことがうれしかったですね。台本もおもしろかったし、撮影前から楽しみにしてました。

Q:今までのシリアスな役柄とは演じる上で違いはありましたか?

 リハーサルの時は笑いながらセリフを言うのが、すっごい大変でした。眉間にしわが寄っちゃって(笑)。その時は「どうしよう、どうしよう」って感じで…。でも現場に入ってからは、あまり気にしないで自然に笑えるようになりました。

Q:前田哲監督とは『sWinG maN』でも組まれていますが、監督はどんな方ですか?

 可愛い人ですよ~。大人なんだけど、大人じゃないみたいな。監督なんだけど、現場以外では全然監督っぽくないし。年の差もあまり感じないんです。だから哲っちゃん(※前田監督)と、またお仕事ができたことは本当にうれしかったですね。『sWinG maN』は撮影日数も少なかったんですけど、今回は泊まりだったので、ほかのみんなともすごく仲よくなれました。


Q:ひかるを中心とした家族関係がとても温かく描かれていましたが、現場もアットホームな雰囲気だったのですか?
 そうですね。現場でもみんな仲がよくて、とくにお姉さん役の一沙(※松田一沙)とは気が合いました。ホテルでは向かいの部屋に泊まってたんですけど、いつも一沙が私の部屋に来て、一緒にゴハンを食べたり。ほぼ毎日一緒にいました。

Q:隼人役の勝地涼さんは、宮崎さんが推薦したそうですね

 お勧めしたというより、「高校生ぐらいの年の男の子知ってる?」と監督から言われて、思い当たったのが涼ぐらいしかいなかったんです。そしたら、すんなり決まっちゃって。友達と演技をするのは、不思議な気持ちだったけどおもしろかったですね。

Q:印象に残ったシーンはありますか?

 隼人と雨宿りをしながら手をつなぐところ。すごく可愛いですよね! でも撮影した時はすごく寒くて。カットがかかるたびに車の中に入って、ふたりで「寒いね」って言ってたんです。あとネイルアートがちゃんと映っていたこともうれしかったですね。ネイルアートが大好きで、自分の爪もそうなんですけど、一沙のも私がやってあげたんです。

Q:本作はオール函館ロケでしたが、思い出に残っていることはありますか?

 オフの日はいろんなところへ遊びに行きました。函館って服が安いんですよ。だから一沙と一緒に買い物に行って、たくさん洋服を買っちゃいましたね。あとホテルのソフトクリームがすごくおいしくて。多い時は朝と夜と、1日2つとか食べてました。

Q:『害虫』のようなシリアスな役柄と、本作のような明るい役柄ではどちらの方が自分に近いですか?

 どちらも似ているところはありますね。わりと気分の変化が激しくて、楽しい時もイライラしている時も、そのままの気持ちが態度に出ちゃうんです。『パコダテ人』のひかるちゃんとは、普通に明るいところが近いかな。

Q:『害虫』ではナント三大映画祭主演女優賞を受賞されましたが、その後変化はありますか?

 その賞は私じゃなくて、映画の中の“北サチ子”が取った気分なんですよ。映画を観てても私とサッちゃんは違う人で、彼女はひとりの女の子として私の中にいてがんばって生きているという気がするんです。そういうことを思ったのは『害虫』が初めてだったので、すごく不思議な気持ちです。

Q:今まで一緒にお仕事されてきた青山真治監督や塩田明彦監督の印象はいかがですか?

 青山監督は現場では全然しゃべってくれなかったんですよ。でも最近会ったらニコニコしてたので、「あれ? 監督って笑う人なんだ」とビックリしました。塩田さんとも現場が終わってから、たくさん話をしました。一緒にインタビューを受ける時にはさりげなくフォローしてくれたり、心が広くてみんなにやさしいところが好きですね。


Q:映画のお仕事が多いですが、今後も映画を中心に活動していくつもりですか?
 そうですね。映画が好きだし、それに映画とドラマと両方の現場を経験して、自分は映画の現場の方が落ち着くなと感じ始めて。それから映画の世界でずっとやっていけたらいいなと思うようになりました。

Q:とくに好きな映画はありますか?

 『ライフ・イズ・ビューティフル』と『ショーシャンクの空に』と『レオン』。感動ものが好きですね。

Q:では最後に『パコダテ人』の見どころをお願いします

 観終わった後に、きっと幸せになれる映画だと思います。でも楽しい中にも、人間って流されやすいなとか考えさせられる部分もあるので、その辺りも観てもらいたいですね。
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『パコダテ人』

2001年・82分 監督:前田哲 出演:宮崎あおい/大泉洋/松田美由紀/徳井優/松田一沙/勝地涼/野村恵里/粟田麗/前原星良/萩原聖人/木下ほうか

 函館に暮らす女子高生ひかる(宮崎)は、ある朝目覚めるとなぜか“シッポ”が生えていた。シッポが気になり、同級生の隼人(勝地)との初デートもドタキャンしてしまうひかる。だが新聞記者・早川(萩原)にスクープ写真を撮られ、シッポ人間出現のニュースはあっとう間に函館中を駆けめぐってしまう…。

by yukiloveaoi | 2002-08-22 00:54 | ☆『パコダテ人』☆
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